岩国蓮根をガラスに溶かすと、みずみずしい蓮根の新芽のような優しい若緑色になりました。
瀬戸内、山口県岩国の清流、錦川。
その支流である今津川と門前川に挟まれ、肥えた豊かな三角州には、
見渡す限り一面に広がる蓮根の田園。
春に力強く新芽が芽吹き、夏には緑あざやかな大きな葉を広げ、
葉に乗った朝露や雨のしずくはガラスを思わせます。
茂る葉の谷間には、美しい花をたくさん咲かせ、
その光景は絵にかいたような、極楽の世界。
秋から冬にかけて、収穫時期は田園が活気づきます。
恵まれた環境で採れた、肥えた蓮根の味は格別。
美味しく美しい岩国蓮根。
夏に見たあのガラスのような輝きや、冬の採れたての新鮮な蓮根の切り口。
輝くガラスに閉じ込め、時が経ても変わらない輝く色を作りました。
収穫後の畑に残った葉や根や花
出荷されずに廃棄されてしまう居残り蓮根たち。
居残り蓮根たちをを乾燥させ燃やして『灰』にし、その灰をガラスの原料に混ぜ込み、溶解炉で溶かし合わせました。
完成したガラスは、蓮根の春の新芽のような【若緑色】になりました。
岩国の蓮田の輝きや蓮根の美しさを閉じ込めた、『岩国れんこん硝子』をお楽しみください。
私達ガラス工房マル設立から数年、透明ガラスにもっと力をいれようと思い、夫婦で考えていました。でも、ただ透明のガラスを溶かしただけではなくて何かないかなと・・・。
私達を取り巻いてくれる風土や地域を表現できないものかと。
ガラスの技法として、植物の灰や岩石の成分を溶かして着彩する方法は、古くからあるというのは知っていました。
そうして、何か岩国の特産品や名物を灰にしてガラスに溶かし込んでみたらどうかと考えつきました。
岩国れんこんの収穫後の畑にある居残り蓮根たちを使用します。ですので、常に材料があるわけではなく制作時期がれんこんの収穫時期に左右されます。 ご注文からお渡しまでお待ちいただく場合もございます。